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「ごめんね、心配させて。でも今日は、心が痛んだわけじゃないの」
そして、少し怪訝そうな面持ちになる彼に、私は微笑んだ。
「確かにね、全然、心が痛んでなかったわけじゃないかもしれない。
正直、まだ気持ちがグチャグチャで、よく自分でも分からないの。
でもあの時、冠くんの顔を見たらね。私、なんだかすごくホッとしちゃって」
友之への気持ちが、スッキリと晴れたわけではない。
もちろん彼との未来も、まったくの白紙だ。
そして何より、あの時感じた「嫌悪感」が、私の身も心も凍り付かせるように縛っていた。
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