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今度は彼が、少し言葉を探すように小さく口を閉ざした。
そして、
「じゃあ、その答えが見付かるまで、
僕、夏海さんのミルクチョコでいてもいい?」
なんで、こんなに切なそうな顔をするのだろう。
彼は、まるで独りぼっちになった子犬のような目をして、私に言う。
しかし、やっぱり彼の気持ちを利用するような事はしたくない。
「ねぇ、冠くん」
私は、まだ私の手の上に乗ったままの彼の手に
そっと、もう一つの手を重ねた。
「普通の友達じゃ、ダメ?」
少し視線を落とした彼が、小さく唇を噛んだように見えた。
そして、また、あの切なげな目を私に向ける。
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