第9章   少しだけ近くに

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「僕、夏海さんの力になりたいです。 それとも、やっぱり僕じゃ頼りないですか?」 私は、ゆっくりとかぶりを振った。 しかし、冠くんは納得していないらしい。 「じゃあ、じゃあ僕を……、僕に夏海さんの力にならせてください。 僕は夏海さんに、これ以上、泣いて欲しくない。笑って欲しいです」 だが、そういう彼のほうが、今にも泣きそうな顔になる。 私は、思わず彼の頬を片手で包んだ。 「ありがとう。でも私も、冠くんに笑って欲しい。 いつもみたいにニッコリして欲しい。 冠くんの笑顔見てるだけで、私の心は温かくなるから」
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