第1話 侍と殿さま

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「死にたくなけりゃ身ぐるみ置いてけやぁぁ!」 とある山奥で、山を越えようと歩いていた侍に、 リーゼント頭の山賊がそう叫んだ。 「・・・・・・断る」 侍は冷静に拒否する。 「アァン!?テメーに選ぶ権利はねぇんだよっ! 何だったら殺して奪ってもいいんだぜ!」 「ねぇあんた、逆らわずにさっさと金目の物を渡しなよ。じゃないとほんとに死ぬよ」 そう言ったのは、リーゼントの後ろにいた仲間の 幼女である。 着物をアレンジして、生足を晒している幼女は、 もう一人の仲間、スキンヘッドの巨漢の肩に乗っている。 「朱馬(あかめ)は強いからさ、あんたなんかヤラレちゃうよ」 「悪いが、そんな変な髪型のヤツに負けるほど 弱くはないな」 そう言った瞬間、リーゼントが刀を抜いた。 「テメー、オレ様の芸術的なヘアースタイルにケチ付けやがったな。生かしといてやろうと思ったが、ダメだ、ここで死ねぇぇぇ!」 リーゼントが侍に斬りかかった。 「・・・・・・」 侍は素早く刀を抜き、峰の部分をリーゼントの腹に打ち込んだ。 「うげぇ」 リーゼントは地面に倒れ、気を失った。 「・・・・・へ?」 あっという間の出来事に、幼女は言葉を失う。 「おい、そこの娘。こいつを連れてさっさと失せろ。じゃなきゃ俺がこいつを殺すぞ」
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