晴れ、時々涙。

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それから二ヶ月たったある日の放課後、紀子が香織に耳打ちをした。 「加納くん、好きな子がいるらしいよ」 話を聞けば、加納は同じクラスの保田奈美のことが好きだという噂があるそうだ。中庭のベンチで二人が楽しそうに話している姿を別の男子が発見したらしい。 加納も恋をするのか。 当たり前の現実に香織は気づいた。 保田奈美は香織とは正反対の清楚で華奢な女子だった。長い黒髪が腰まで伸びていて透き通る様な白い肌をいつも羨ましく香織は見ていた。男子が好きそうな女の子の模範と言ってもよかった。 誰も加納を好きならないなんて、どうして私は決めつけられていたのだろう。 あの笑顔は私が引き出したなんて、どうして思えたんだろう。 最初は軽い気持ちで好きになったはずだったが、気が付くとその気持ちはぶくぶくと膨らんでいた。冗談混じりの恋は本気だらけの恋になった。引き返せるところで引き返せばよかったのだ。 止めよう。もう、止めよう。 自然と涙がでてきた。 保田奈美を思い出すと、面白いフリをし続けた自分が、ひどく情けなく見えた。 そして気が付くとひどく疲れていた自分がいた。 疲れた...もうイヤだ... 一体、どれだけ自分をごまかし続けてきたのだろう。 二ヶ月に一回はしていた告白を、9回目で終わりにした。 そしてそこから1ヶ月が過ぎた。
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