第10章  花火の夜(続き)

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こうして空を見上げていること、しばし――。 少し派手な花火が藍色の空を埋めた後、 私たちは、静かな夜にすっぽり包まれた。 どうやら、車の中で響くんが説明してくれた短い中休みに入ったらしい。 「良かった、連れて来てもらって。すごく、きれいだね」 ちょっと子供のようにはしゃいだ気分で、 私は、隣の彼に何の気なしに話しかけた。 ところが、 「はい。でも今日のナッちゃんのほうが、ずっと綺麗です」 思わず、ドキンと心臓が跳ねた。 しかも、明るい中ではどこか視線を逸らしていた冠くんに、 暗闇だからか、真っ直ぐに見つめられて、なんだか頬まで火照ってくる。
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