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こうして空を見上げていること、しばし――。
少し派手な花火が藍色の空を埋めた後、
私たちは、静かな夜にすっぽり包まれた。
どうやら、車の中で響くんが説明してくれた短い中休みに入ったらしい。
「良かった、連れて来てもらって。すごく、きれいだね」
ちょっと子供のようにはしゃいだ気分で、
私は、隣の彼に何の気なしに話しかけた。
ところが、
「はい。でも今日のナッちゃんのほうが、ずっと綺麗です」
思わず、ドキンと心臓が跳ねた。
しかも、明るい中ではどこか視線を逸らしていた冠くんに、
暗闇だからか、真っ直ぐに見つめられて、なんだか頬まで火照ってくる。
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