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高校1年になった今、兄のパーカーを大切に着ているのは、兄の存在を忘れない為なのかもしれない。
でも―――事件から変わったのは「それだけ」じゃない。
ボブカットにしたサラサラの髪を揺らしながら、私―――広瀬アキは卵かけごはんを口に詰め込んでいた。
真っ赤な唇を舐めながら、咀嚼を繰り返す。
その時、テーブルに置いていたスマホから音楽が鳴って、私は画面を見つめた。
母からだった。
『ゴメン、アキ。事件があったから、ご飯何でもいいから持ってきてくれない?』
私はそれを読むと、急いで黄色いご飯を口にかき込んだ。
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