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事務職員なのか書類を持っている彼らの背後を抜けると、私は日差しの射しこむ廊下を通り、奥へ向かった。途中の壁には、「麻薬、覚せい剤撲滅」と書かれたポスターや、可愛い婦警さんがポーズをとっている壁紙が貼ってある。そうして、その中には「刑事一課」と書かれた案内文字も見えた。
私はいつも、この道を通る。
少し歩くと、階段があり、私は早めに駆け上がった。途中、制服を着た男性がファイルを持って降りてきて、挨拶をかわした。
「おはようございます」
「あ、おはようございます」
腕時計を見ると、午前10時。
メールが来てから1時間。
踊り場から階段を5つ駆けあがると、ようやくいつもの会議室の前にでた。
白い塗装の禿げかかった会議室の白い壁には、「飯能市山林男性殺人死体遺棄事件捜査本部」と達筆な字で張り紙がしてあるのが見えた。
それを読むと、私は蒼いダボついた袖を引っ張って上げ、使い古されて軽くなったドアの取っ手をそっと回す。
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