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第12章 やっと……(続き)
「そこの角の向こうに出れば大通りだから、車、拾えると思う」
私は、バッグの中から小さな折り畳み傘を取り出し、それを広げる。
そして、
「行こう」
彼にそれを差し掛け、一度離した彼の手を再び取った。
そして、一瞬、私をじっと見つめる彼の手を少しだけ強く引いた。
正直この天気の中、簡単にタクシーが捕まるかは少し不安だった。
だが、迷わなかった。
そして、運よく大通りに出て間もなく止められたタクシーに乗り込むと、
私は、自分の住む町を運転手に告げていた。
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