第14章  誕生日じゃない誕生日

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「どうしたの?」 彼女は、そんな僕にクスクス笑いながら訊いてきた。 前日の金曜日。 僕のリクエストを聞いてくれ、僕たちは、 彼女のマンションで一緒にカレーを作って楽しんだ。 そして今、本当は借りてきた映画を見るつもりだったけれど、 僕は、映画なんかより彼女を見ていたくて彼女に話しかける。 「ナッちゃんの誕生日って、いつ?」 「7月3日。冠くんは?」 「4月23日」 「じゃあ、二人とも今年は過ぎちゃったんだ」 「でも二人でお祝いは出来るから、今度しませんか?」 すると、再び振り返って僕を見上げる彼女が、「フフッ」と小さく笑う。
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