第13章  雨の夜に

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「行こう。このままじゃ、二人とも風邪ひいちゃう」 「でも……」 ありありとした躊躇いを浮かべ、彼の目が上目遣いに戻ってくる。 私は、彼に小さく微笑みかけた。 「とにかく、入ろう」 その途端、フワッと彼に抱きしめられた。 「ナッちゃん、僕……」 一瞬、再び躊躇ったように言い淀む。しかし、 「このまま行ったら、止まらないかもしれない……」 耳元で、囁くように切ない声が呟く。 「うん、いいよ……」
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