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彼の手を引くようにして、自分の部屋の玄関前までやって来た。
そして玄関に入っても尚、迷うように躊躇って
三和土に立ったままの彼に声を掛ける。
「今、タオル持ってくるから、上がって?」
何度目かに彼を促し、バスルームでタオルを取って戻ると、
ようやくリビング・ダイニングとしている部屋に彼の後ろ姿があった。
「はい、タオル」
彼の前にタオルを差し出し、
「今、お風呂入れるね」
そう言って、再び彼の前を離れようとした。しかし、
「ナッちゃん……」
私は、手にしたタオルごと彼の腕に抱きすくめられた。
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