第13章  雨の夜に

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刺激と息苦しさから、自然と荒くなる互いの呼吸。 その中、少し逃げ腰の私の舌に何度も舌をからませ、 唇の角度を変えて甘く吸いつく。 いつもの彼からは、あまりにもかけ離れた変貌ぶり。 だが、それに戸惑う間もなく、 引きずり込まれた快感と静かな部屋を満たす官能的な音に すぐにも意識が飛んで行きそうになった。 しかし、互いに空気を求めて唇が離れていくと、 かすかに残った理性が私の口を突いた。 「冠くん、待って……」 しかしそれは、荒い呼吸をする低い彼の声に遮られる。 「無理」
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