☆クリスマスには天使にキスを☆

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 キリスト教徒が人口の1パーセントにも満たない日本で、クリスマスがこんなにも賑やかにお祝いされるようになったのは、いつの頃からなんだろう。  十二月が近づくと街中がクリスマス一色になり、なんでもない一般家庭の庭先でもイルミネーションの飾り付けが施される。  それは、俺が今年入学した山野大学でも同じだった。  派手に装飾されたキャンパスは、近所でも有名なイルミネーションスポットになっていた。  近隣住民の散歩コースでもあるキャンパス内には、この時期、日が落ちるといつもより多くの人が集まってくる。  誰もがみな写真を撮るなどして、思い思いにイルミネーションを楽しむのだ。  ボディバッグから一眼レフカメラを取り出し、レンズキャップを外した。設定をチェックする。  イルミネーションで輝く並木を数枚撮り、一番良く撮れた画像をwi-fiでスマホに送った。  インスタグラムにポストし、続けてラインで直哉(なおや)に同じ写真を送る。  俺の横でラインの通知音が響いた。直哉が嬉しそうにいった。 「うわあ、すごいキラキラしてる。どうしてこんなことになるの」  俺は直哉にカメラのレンズ側を見せた。 「クロスフィルター。これを付けて夜景を撮ると、光ってるところが放射線状に線が伸びてキラキラして見えるんだ」 「へー、すごい。早速ラインのホーム画面にしようっと」  直哉が綺麗な歯を見せて、俺ににっこり笑う。俺はたまらなくなって、直哉の耳たぶをつまんだ。
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