☆クリスマスには天使にキスを☆

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 イルミネーションでクリスマスツリーみたいになったヒマラヤ杉を見上げて俺はいった。 「ねえ知ってる?このイルミネーション、みんなに光る学費って呼ばれてるの」  直哉は吹き出し笑いをした。 「そうなの?あ、そうか。この電気代は学費でまかなわれているってことか。上手いこというなあ」 「うん。ここの大学って別にキリスト教じゃなかったよな?なんでこんな盛大にクリスマスの飾り付けなんてするんだろ」  直哉が首をかしげた。 「わかんない。他の大学もみんなやってるからじゃない?」 「はは、そっか。まあなんでもいいや。キレイだから」 「うん。クリスマスなんだから、みんなでお祝いすればいいと思うよ」  そういって、直哉は祈るように胸の前で両手を組んだ。それを見て俺は思い出した。 「そういえばおまえ、カトリック系の幼稚園に行ってたっていってたけど、直哉ってクリスチャンなの?」  直哉は目を閉じて首を横にふる。 「違うよ。ただ幼稚園がカトリック系だったってだけ。多分ほとんどの子がクリスチャンでもなんでもなかったと思う」 「へー、そういうものなんだ」 「うん、そういうもの。そのクリスチャンでもなんでもない子ばかりが集まって、クリスマスお祝い会で聖劇とかやるの。ぼくは年長さんのときに天使の役をやったんだ。背中に羽を付けて、こうやって両手を前で合わせて……」  直哉は胸から右手だけ斜め上にあげて口を開けた。 「えっと、セリフなんていったっけな。忘れちゃったや」  俺はまた直哉の仕草にたまらなくなった。
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