クリスマスには天使にキスを(短編)

☆クリスマスには天使にキスを☆

「スマホを勝手に見たことは謝る。だけど、先にぼくに相談もせず、友達に愚痴をこぼすのはフェアじゃない。ぼくはこれでもきみのことをいろいろ考えてやってきたんだ。ぼくが知らないところで、悪者にされているのは、やっぱり心外だ」

　エリさんは顎を上げて天井を見上げた。呆れた顔でいう。

「だから、話を最後まできいてよ。私は別に愚痴なんかこぼしてないの。サヤカから聞かされる旦那さんへの不満があまりにもくだらなかったから、それに反論しただけ。食器の並べ方がどうとか、洗濯物の干し方、たたみ方がどうとか、ゴミを出し忘れたとか、そんな生き死にに関わらない細かいことで怒ってるサヤカにイライラきたの。だからいってやったんだ。うちの夫なんて、洗濯をしない、食器の片付けをしない、掃除をしない、家事なんて何もしない。だけどそれがどうしたのって」

　広瀬さんは一瞬はっとしたが、まだ腑に落ちない顔をする。この人は以外と頑固なのかもしれない。広瀬さんは少し勢いをなくしてしまったが、やはりいい返した。