☆クリスマスには天使にキスを☆

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「衣川くん、今夜は本当にお世話になりました。それから南澤くん、せっかくのところお邪魔してごめんね。また二人でご飯でも食べにきて。私、料理には自信あるんだ」  直哉がエリさんの話にくいついた。 「本当ですか。また、おすすめの料理本とか教えてください。ぼく、少し料理を覚えようと思ってるんです」 「そうなんだ。そしたら、またうちにおいでよ。私が直々に教えてあげよう」  エリさんが自慢気で腰に手を当てる。広瀬さんが冗談ぽくいった。 「おいおいエリ、衣川くんと浮気するなよ」  エリさんが片方だけ眉毛を上げた。 「衣川くんとはそんな心配ないわ。ねえ、その時計すごくカッコいいね。二人ともよく似合ってる。素敵な夜を過ごしてね。今夜は本当にありがとう。おやすみなさい」  エリさんはウインクで挨拶をする。今までにも度々感じることがあった。女性には鋭い洞察力がある。俺たちはちょっと驚いて顔を見合わせてしまった。 「ありがとうございます。おやすみなさい」  広瀬さんの方はというと、何も気づいていないみたいだった。この人にはきっと、女性の浮気なんて見抜くことなんかできないだろう。  隣の新婚夫婦はすっかり仲直りをし、上機嫌で部屋に帰っていった。
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