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直哉が自分のスマホを取り出す。彼のスマホはリンゴのマークだ。
「ぼくのは、セキュリティロックしてない。そのまま見れるよ。もちろん怪しいことは何もないから、健人も勝手に見ていいからね」
直哉が上目づかいでスマホを差し出してくる。俺はそれを受け取っていった。
「ロックはしておかないと。もしもどこかに置き忘れたりしたとき、大変なことになるから」
直哉のリンゴを操作する。設定画面を開いて、セキュリティの項目に入っていった。とにかく思いついたときに設定しておいたほうがよい。
直哉が思い出したように小さく「あっ」っといった。俺が操作するリンゴを覗き込んでくる。勝手に見てもいいといわれたから、セキュリティロックの設定をするのも問題ないと思ったが、やっぱり踏み込みすぎだっただろうか。直哉にリンゴを差し出した。
「自分でする?」
直哉は自分のリンゴを黙って手に取ると、俺から少し離れて背を向けた。何か操作している。少しするとまた俺のところに戻ってきて、リンゴを手渡してきた。
「はい。健人と同じナンバーでロックの設定しておいて。他のところも全部みてもかまわないから。ぼくお風呂入ってくるね。健人、寝室で待ってて。お布団暖めておいてほしいな」
首を傾げて可愛らしく微笑んだりする。その仕草がいつもと違って、妙にわざとらしく、胸がざわざわした。
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