☆クリスマスには天使にキスを☆

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「ねえ、そのときのビデオとかってある?」  直哉は外れそうになったマフラーを持ち上げ、苦笑混じりで答えた。 「うん、多分実家にあると思う。父さんと母さんがビデオ撮りまくってたから」  俺は直哉のマフラーを整えてやった。 「それ、見たい。絶対見たい」  直哉は少しがっかりしたように笑う。 「しょうがないなぁ、じゃあ次、神奈川に帰ったときね」 「よしっ!」  小さくガッツポーズをした。  直哉がのんびりとした口調でいう。 「でも日本っていいよね。きっと日本には宗教に壁がないから、こうやって他の国の四季折々のお祝いを楽しむことができるんだよ。日本には八百万の神様がいるっていわれてるでしょう。森羅万象に宿った神様それぞれが役割を持ってる。それに加えてご先祖様も大切な存在。ぼくたちがどんな宗教のお祝いでも寛容な気持ちで取り入れることができるのは、きっとそういう宗教観がベースにあるからかもしれないね」  そうだったのか。俺はただお祭りごとがしたい平和ボケした日本人が、商業主義に踊らされてるだけだと思っていた。  ハロウィンでバカ騒ぎをして、クリスマスを祝い、お正月には初詣に行く。日本の年末年始は特に忙しい。  だけど多くの国がそんな風に異なる国の教えに敬意を払うことができれば、世界はもう少し平和になるかもしれない。
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