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なんて安心する温もりなんだろう。
細くて小さな彼女の腕の中は優しくて、思っていたよりずっと力強かった。
「・・・キョウちゃん、よく夜中にこうしてるの、知ってるよ」
ポツリと呟かれたその言葉に、驚く。
言葉を返せない俺を気遣ってか、それ以上彼女が言葉を紡ぐこともなく、辺りは深夜の静寂が支配していた。
言葉を交わさずとも、その間ずっと優しく頭を撫でてくれる。それがまったく不快でなく、彼女なら、受けていれくれるかもしれない、前を向かせてくれるかもしれない、そんな気がした。
「ひなちゃん」
「・・・ん?」
「アナタにね、話さないといけないこと、色々あるのよ」
陽だまりのように微笑む彼女は、そっと俺の隣に座った。
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