君の心の熱に触れる

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「そんな手であっつい物が入ったでかいマグカップなんて持って、落としてヤケドでもしたらどうするんだ」  だけどそのきかん気は、予想外の言葉にぺシャンと潰されてしまった。 「……え?」 「この間は俺がいたから事なきを得たが、いつだってあんな風に何事もなく済むとは限らないんだぞ」  ツカツカツカとダイニングテーブルを迂回してきた彼がスッと私の手からマグカップを取り上げる。  私が両手を使ってやっと持ち上げられるマグカップを片手でラクラク持ち上げた彼は、不機嫌の中にわずかな不安と心配を混ぜて私のことを見ていた。 「俺のいない所で、勝手にケガなんてするな」
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