君の心の熱に触れる

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「あ……! ちょっ……!!」  せっかく作ったコーンスープを取り上げられてしまったことに気付いた時には、たっぷり30秒は経っていたと思う。  椅子を蹴って立ち上がってみたけれど、私がキッチンに突撃するよりも彼がキッチンから戻ってくる方が早かった。  結局私は、椅子から立ち上がっただけの何とも中途半端な体勢で彼と相対する。 「ほらよ」  コトン、とダイニングテーブルに置かれたのは、小さな2つのマグカップ。  私が彼にもらったまま大切にしまってあったカップと、普段使い用に出しっぱなしにしているカップだった。  もらい物のカップには、御丁寧にスプーンまで入れられている。 「落ち着いて飲めよ」
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