君の心の熱に触れる

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 そう言って彼は、普段使い用のマグカップに口を付ける。  中に入っているのは、ブラックコーヒーではなくコーンスープ。  大きなマグカップに入っていたコーンスープを2つに分けて入れてきたのだということは明白だった。 「ちょっと! 私の分なのにっ!!」 「あるだろ、お前の分は」 「だから! 全部私用だったのにーっ!!」  顔が熱いのは、コーンスープの熱に温められたせいだけでは決してない。  私の手の中にすっぽり収まる小さなマグカップは、断熱素材で作られているはずなのに、妙に熱く私の手に触れていた。 《 END 》
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