4人が本棚に入れています
本棚に追加
そう言って彼は、普段使い用のマグカップに口を付ける。
中に入っているのは、ブラックコーヒーではなくコーンスープ。
大きなマグカップに入っていたコーンスープを2つに分けて入れてきたのだということは明白だった。
「ちょっと! 私の分なのにっ!!」
「あるだろ、お前の分は」
「だから! 全部私用だったのにーっ!!」
顔が熱いのは、コーンスープの熱に温められたせいだけでは決してない。
私の手の中にすっぽり収まる小さなマグカップは、断熱素材で作られているはずなのに、妙に熱く私の手に触れていた。
《 END 》
最初のコメントを投稿しよう!