生活力が貧困な私が自力で夕飯にありつけるただ1つの方法

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「うー……あ!」  悩んで悩んで、ひもじさに自分の爪でも噛もうかと思った瞬間、そのメニューは唐突に私の頭に舞い降りてきた。  と言っても、私がまともに作れる料理がそれしかなく、その材料が今目の前に揃っていることに私が気付いていなかっただけなのだが。  包丁をほぼ使わず、フライパンとおろし金だけで作れる1品料理。  そして私が唯一まともに作れる料理でもある。  私はフライパンを取りだすと弱火にかけ、ひき肉のラップを引きちぎるように開けた。  そのまま冷凍されたひき肉をフライパンに落とし、その肉の上でおろし金を構える。  おろし金ですりおろすのは生姜だ。  塊のままの生姜を、皮ごと豪快にすりおろしてフライパンの上にあるひき肉の上に落していく。 「母上なら、きちんと皮を剥いてみじん切りにするけど、私は無理、無理ったら無理」  本当はひき肉がきちんとバラけて火が通ったら豆板醤1匙、生姜のみじん切り、椎茸のみじん切りの順にを投入するのが正しい調理方法なのだが、時間短縮と割りきった私は凍ったにひき肉の上にすりおろし生姜をかけていく。  量は適宜。  お好みで、と言いたい所だけど、単に入れる量が分かっていないというのもある。
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