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「……よくそんな小さな手で、そんな大きなマグカップ持てるよな」
自分のマグカップになみなみと作ったコーンスープ。
その芳しい香りに夢中になっていた私は、無造作に投げられた言葉に『ん?』と顔を上げた。
私と同じようにマグカップを手に休憩を入れていた彼は、呆れたような顔で私のことを見ている。
ちなみに彼のマグカップの中に入っているのはブラックコーヒーだ。
あんなに苦い物を自ら飲もうといういう思考が私には理解できない。
「何よぉ、何か文句あんの?」
私の手は、世間一般の女性達よりも一回りくらい小造りだ。
手袋は必ず大きいし、ハサミも調理器具も手の小ささが災いして使い勝手の悪いことが多い。
対して彼の手は世間一般の男性達に比べて少し大きい。
今だって大きなマグカップをスマートに持つ姿は、そのまま雑誌の表紙でも飾れそうなくらい様になっている。
その大きな手ですっぽり包まれるように手を握ってもらうのが実は大好きなんだということは、彼に悟られないようにキッチリと私だけの秘密にしている。
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