私は彼のハートを撃ち抜きたかった

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●=▽●=▽●=▽ 「またハムエッグ?」 いつもの朝、 いつもの時間、 いつもの場所に行けば、 いつも通りに彼が、お皿いっぱいに載る特大のハムエッグを幸せそうに頬張っている。 ナイフで切り分けられた目玉焼きからは、トロトロの黄身が溢れ出てきて、ピンク色のハムにマーブル模様をつけていく。 香ばしい香りをたてるスパイシーなハムに、マイルドさを加えるこのコンビは、他の何よりも優れているベストコンビに違いない。 「なんだよ、旨いんだからいいだろ。 それより、お前はまた俺のサラダを盗りやがって!」 そう、ハムエッグに夢中な彼を放っておいて、私はセットでついてきているサラダを(無断で)いただいている。 シャキシャキのレタスに、見た目鮮やかなトマト。 ほんのりチーズが香るドレッシングはシーザー。 野菜の瑞々しさを百パーセント活かした王道サラダであるシーザーサラダは、健康と美容に最適だ。 「女の子はね、朝からそんな特大のは食べられないの! それに、お野菜食べないと肌が荒れちゃうでしょ? あんただって、私に長く綺麗でいてほしいでしょ?」 胸を張って、モデルのようなポーズをとると、途端に彼は視線を反らす。 なんだかんだ、照れ屋なのだ。
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