私は彼のハートを撃ち抜きたかった

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確かに、不便だと思う。 もう慣れてしまったけれど、こういう動作がない裸眼の人が羨ましいのは昔からだ。 「でも、そんなこと言ったって仕方ないじゃん。 手術とかは怖いしさ」 なおも、『なんとかならんかな~』と考える彼。 私の事を思っていると嬉しく思う反面、もう少し大きな事も考えて欲しいとちょっと複雑だ。 「だったら、片眼鏡でもしたらいいんじゃないか?」 食後の珈琲を持ってきたマスターが、唐突に言う。 「なるほど、確かに、それなら片方の眼で遠くを視て、もう片方の眼で近くを視えるな!」 ナイスアイデア!とばかりに、手を叩く彼。 早速、近くで売っている眼鏡屋はないかとスマホで検索を始める彼。 このままでは、片眼鏡を本当にかけさせられると、慌てて彼を止める。 「ちょ、ちょっと待ってよ! 嫌よ、私そんな古臭い眼鏡着けるの」 無理無理と手をブンブン振るけれど、彼はスマホを操る事を止めず、遂には片眼鏡の販売店を見つけてしまったようで。
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