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硬直していると、目と口を塞いでいたものを外された。
「大丈夫かい?」
日も落ちた暗がりのなか、小さな光球に照らされたのは、予想通りの心配そうな顔。
学校のセンセイ。
首筋の毛が逆立った気になる。
「……?」
驚いて戸惑ったふりをしてみるが、彼はにっこり笑うだけだ。
その手がするりと撫でるだけで、体を縛っていた紐は落ち、立たされる。
「おや、また泥だらけになって。きみはいつも元気だねえ」
汚れを払われ、元の道へ連れていかれる。
「通り掛かって良かった」
二人分の鞄を持ったセンセイは、当たり前のように、手を引いて歩き出した。
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