………あの。

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「彼はセフレですよ、飲み仲間も本当。そういう奴らが集まるバーがあって常連なんです。合図は『仕事中だから声掛けんな』の意味」 「元カノは?」 「一年前に俺がたまたま男とキスしてっとこ見られたんですよ、とっても激しいのを。で、ブチ切れて出て行きました」 「今恋人は?」 「いませんよ!いい加減に」 「そうなんですか、じゃ心置きなく」 床ドーン。 うっそー?この俺が簡単に押し倒されただと? 「畑違いだから知らなかったでしょうが、僕合気道の錬士です」 おおう! 異種とは言え、柔道四段のオレより更に上ですか。 「あからさまに迫ってるのに丸無視してくれて。マジ気付かなかったの?それとも僕は好みじゃない?」 いや、逆だって。俺の大好物の白い肌。だがね、先生。 「俺は編集者です。作家先生には手を出しません。仕事に差し支える」 「ジンだってそうでしょう?」 「彼はゲージュツカ。作家じゃないからそうそう仕事に被らない。メディアに露出が多い分リスクが大きくて、頻繁に会うわけじゃないし」 今日はたまたまだ。 「あんな親密に見つめ合ってたのに?」 覚えありませんが。タバコは見つめてたかな? 「最初彼と気付かなかった。肌の色ホントは白ですよね。メークでしょうか。どうでもいいけど。 問題は、彼だったということだ。 一ヶ月前のことです。貴方の会社に彼の個展のポスター貼ってあったの覚えてますか?貴方がそれを穴が開くほど見つめていたってことは?」 そうだっけ?穴が空くほど、はねえと思うが。
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