………あの。

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「僕もあんな風に貴方の瞳に射抜かれたい。そう思った瞬間、貴方に落ちた。 あの日取材で出版社に出向いてて、貴方に出会った。その足で社長室に乗り込んで、担当替え交渉したんですよ、僕」 そうなのか。というかこの体勢苦しい。足、折り曲げたまま。 「足伸ばしていいですよ」 既に両腕を畳に縫い止められ、先生の体重が乗ってる状態で足を伸ばせば、その先は。 「起きたいです、俺」 「ダメ。答もらってない」 「だから」 「作家辞めたら付き合ってくれますか?」 次の言葉がでない。 「貴方だけなんです。どんな事してでも手に入れたいと思ったのは」 それずるいって。イケメンは何言っても許されるのか。 「それに、俺の問題が」 「何ですか?」 「……俺見かけこんなだけど受けです」 あんたどう見ても受けだよな。受け同士で何やんのさ。 「そうそれ」 イケメンが眉をひそめる。 「投稿サイトや本読んでると出てくるんですよね、受けとか攻めとか。あとネコとタチ?一体何のことやら」 どういう読み方してんだよ。 「俺に読ませたじゃないですか、濡れ場」 「あ、あれね。投稿サイトにあがってたヤツです。僕が書いたんじゃない」 フフって、自慢げに言うな! 「で、どういう意味なんですか?」 作家先生の癖だな。下唇を嘗める仕草。直視無理。 「そのまんまですよ。どっちをやるか。 俺は男には入れられない、受け専。 ネコは………鳴くでしょう?」 「なら丁度良かった。僕は貴方を鳴かせたい」 ああ、それなら問題解決、違う。 押さえ付けられた両手首に更に圧がかかる。 「いい加減落ちろよ、あんただって僕のこと、ほら」
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