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俺を見る作家先生がやおら左膝を立てる。
先生。
お召し物、大島紬でございましょうか。偉い高そうなお着物をお召しでございますが、おパンツが丸見えでございます。
アカのボクサーですか、そうですか。
立派なものが美しく浮き出ていらっしゃいますね。
しかも右手で襟くつろげるな。
鎖骨が何かエロいぞ。
俺何処見りゃいいの?
左膝に肘立てて頬杖つく様は、まるで呉服屋の若旦那。いや道楽息子?
「よく分からないんですよねえ、同性は経験ないので」
「はあ……で、原稿なんですが」
別に同性経験無くても困らないでしょう、その綺麗なお顔でしたら異性は入れ食いでしょうし。今回の依頼に同性愛というテーマは盛ってないが。
俺はとっとと原稿貰って帰りたい。
「川崎さんはどう思いますか?」
「………何がでしょうか?」
「こう、シャワーも浴びずにいきなり同性のソコを触れるかという問題です。あと初めてでなくてもそんなにか「先生、原稿ですが、まだプロット思案中ということでしたら!」
帰る。
「今日はお疲れのようですし、改めて明後日お伺い致します。失礼します」
「あ、川崎さん」
綺麗な細い手が俺の膝からふくらはぎを滑っていく。
ぞくりとした、が無視。
「戸締まりお忘れなく」
そのまま縁側廊下を足早に進む。
疲れた……
俺が。
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