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うわ。そういうのは女性にお願いします。気付かない振りをしてグラスを煽る。
「さっきの男性はお知り合いですか?」
いきなりトーンダウンした先生の声に驚いて視線を戻すと。
……………怒ってますね?何故でございましょうか?
目が、目が怖い。イケメン怒るとマジ怖い。姉様方怒らすよりやべえ。土下座する?
フウッと息を吐かれる。
「まあ。いいです」
そうそう。この後いい気分で原稿に取り掛かって頂かねば。
「私は貴方にとても興味を持っているのですが、貴方は?私に興味、無い?」
刺身を箸で突きながら先生がぽそりと呟く。こういうところ、可愛いよな。競馬場でもそうだったが、妙に幼い雰囲気がナリとミスマッチで。
「興味ですか?一応一通りの情報は頂いてますが。
そうそう、今日から新しく、先生はテレビを見ない人という項目を付け加えさせて頂きますね」
「見ますよ、好きなのは。逆に好きになるとそれしか見ない」
そんな熱っぽい目で見られても。乙女ですか、あんた。
さくさくこの場を締めちまおう。疲れた。もう、帰りたい。
もうすぐ先生のお宅というのに、大通りでタクシーを降りるという。
「家まで歩きましょう。貴方が帰るときはタクシー呼びますから」
いや別にいいって。というか何故歩く?
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