転校生

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「え」 しかも、急なフリだけじゃなく、私の下の名前をちゃん付けにした。 これには周りにいた女子達が過剰反応する。 「えー? なになに? 熊川くんと里さんてそういう仲なの?」 そういう仲じゃないのに、私の心臓はドクドク言ってる。 「なにが? 普通友達とか下の名前で呼ぶんじゃないの? 」 帰国子女の熊川くんにとっては何て事ないんだろうけど。 「熊川くんて他の子も下の名前で呼んでるっけ?」 「覚えたらね。女子はまだ美海しか知らない」 だから、何で知ってるの? 自己紹介も、名字しか名乗ってないのに? ……しかも今度は呼び捨て。 不満そうな女子は、熊川くんに名前を書いて覚えさせていた。 「オーケーオーケー!ジュンバンね!」 「なんでそこだけカタコトなのよ?」 「ワハハハ」 キレイな顔をくしゃくしゃにして笑う熊川くん。 「皆、俺のことも″颯斗″って呼んでよ」 隣の席の特権かな? 多分、他の誰よりも早く気がついた。 熊川颯斗くん。 この一週間で随分と声が低くなった。 身長も高くなったみたい。 ……急激な成長期突入?
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