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琢磨が釘付けになっていたのは、やっぱり医療系のニュースだった。
「数年前に発見されたガン細胞だけを食する寄生虫により、ガンの末期患者が激減したこの数年、生命保険会社の保険料が……」
ガンを食べる寄生虫だって。
一体どんな虫よ。
虫が嫌いな私は、ニュースも興味ないし、食欲も減退したので、席を立って洗面所へ向かった。
歯を磨きながら聞こえてきたのは、お母さんの小言だった。
「美海が琢磨の半分くらい頭が良ければねぇ……」
「母さん、そればっか」
「頭だけじゃなくて性格も暗いし、容姿もパッとしないから本当に将来が心配」
「そこまで言うなよ」
「だって、琢磨は医学部有望だと言われてるのに美海ったらいっつも……」
″通知表は 2と3ばっかりなのよ″
はいはい、私は本当に出来の悪い娘ですよ。
そんなこと、わかってます。
こんな私のせいで、両親の不仲に拍車をかけてしまってるって。
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