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――話が早くて申し訳ないけど、残念ながら私には時間がないんだ。誤字脱字も許して。続けるよ。
これはダメだと思った私は産まれたばかりの我が子を連れて、朝夜問わずパートに出た。子供のためなら頑張れる気がしていたんだ。
――気付いているかもしれないが、私は母の人生そのものを追っている。母も昔たらい回しにされていた、と聞いたことがある。
私は疲れてしまったのだ。働いても働いてもお金に苦しみ、可愛い子供を家に置いていく日々。寂しそうな目で私を見送る我が子を抱きしめられず、辛いのだ。きっと母もそうだったのだろう。ロクな愛情も注げず、子供のためだと働いてばかりで授業参観にも、保育園の送り迎えだって出来ていない。
朝方に帰り布団で眠る我が子を見て、謝罪の言葉しか出てこない。愛せなくてごめんねと。遊んであげられなくてごめんねと。傍にいてあげられなくてごめんねと。ダメな母親でごめんねと。何度も何度も謝った。
あどけない寝顔と、安らかな寝息を聞いて自然と心が安らぎ、明日も頑張ろうと思えるのだ。それでも今日は思えなかった。もういいでしょう、もういいだろう、と思った。
娘が眠たい目を擦りながら起床した。必死に鉛筆を走らせていたらこんな時間になっていたのだ。
「おはよう、おかあさん」
ふにゃりと笑顔を浮かべた娘に、私は。
「疲れた…もうイヤだ…」
娘は悲しそうな顔で学校へ行く。私は頑丈な縄を用意する。
日記はこれでお終い。もし誰かこれを見たなら…私の娘を大切に育ててください。私はもう、疲れました。
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