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お父さんが疲れたーと言って帰って来たのは夜の九時。
私は自分の部屋のベッドから飛び出した。
「おかえりなさい!」
玄関まで出迎えにいったら、お父さんにひょいっと抱き上げられ、ただいまと言ってお父さんは頬擦りした。
「お父さん、おひげ痛い!」
お父さんは、ごめんごめんと笑ってリビングに私と一緒に歩いて、メガネをテーブルの上に置いた。
お父さんは、メガネをかけている。
黒いフレームの、お父さんが言うには高いんだという話だ。
私はお父さんのメガネを奪い取ってかけてみる。
「お父さんにへんしん!」
お父さんもコーヒーを淹れていたお母さんも、またかと笑う。
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