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ひと目でわかる艶やかな黒髪に少し冷たい印象を受ける切れ長の瞳。
服装はピッチリと着こなし、清涼感のある印象の男子だ。
理事長に対しても冷静に指摘していた彼、
神宮寺 秋彦は顔を綻ばせ俺に嬉しそうに近づいてきた。
そんな彼に俺は目を見張らせす。
「もしかして…秋か?」
幼い頃、母方の家に遊びに行った時によく遊んだ小さな子供の愛称を零す。
俺の家は一般家庭だが母方の家系は神宮寺家といって日本にある大半の神社の経営など古い時代から続いている名家だ。
だからといってはなんだが、俺のような庶民が努力だけでこのエリート校の教師になれるはずがない。
まぁ、死ぬほど勉強はしたけれど。
それにしても…
「秋、お前…デカくなったな」
「彰さんは相変わらずだね、あんまり変わってなくてすぐわかったよ」
「どーゆーことだ?そりゃ」
先までの冷たい表情は何処に。溢れんばかりの笑みでこちらを見ている。
この秋…秋彦は、俺の母さんの弟さんの息子で学生の頃よく遊んでいた記憶がある。
あんまり会う機会がなかったが、まさかここまで大きくなっているなんて。
「これは驚いた…!あのブリザードとも名高い神宮寺くんが…。
ああ、そういえば西那くんは神宮寺家の血筋の人だからか!…いや、だとしてもこれは…」
ブリザード?
というか秋が生徒会ってことは…!
「ファンクラブあるのか…流石イケメンは違うな」
昔の癖で頭を撫でると秋は嬉しそうな、恥ずかしそうな顔をする。
え、なに?こいつ受けなの?
生徒会長とキャッキャウフフ…。
しかし、何か気になったように顔を顰め
「ファンクラブ…?どうして、彰さんがそんなこと知って…?
…理事長、貴方ですか」
打って変わって冷たい眼差して理事長を見る秋。
その視線は理事長に向ける目ではない。
「あー…私は用事があるから、神宮寺くん、学園案内頼んだよー!」
冷や汗を流しながら理事長は急ぎ足でこの場を立ち去る。
「…秋、この学園大丈夫なのか?」
「まぁ、実質この学園の理事長はあの人というよりあの人の奥さんだから大丈夫だよ」
「えっ奥さんいたのか…?」
それは残念だ。
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