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第16章 美佳という人
彼との夜は、いつも濃密。
私が嫌がる事もしないし、強いることもない。
それでも、絡みつくような前戯から始まり、
濃厚な交わりは、一度で終わることはない。
そして、意識を手放す瞬間さえ記憶がないほど愛され尽くして朝を迎える。
だが、さすがに今夜は、一度だけで済ませてくれた。
「明日、トレッキングですもんね」
私を自分の胸に抱き寄せ、まだ薄っすらと汗の残る額に唇を落として
嬉しげに言う。
けれど私は、まだ濃密な余韻から抜け出せず、どこかぼんやりしたまま頷く。
「うん……」
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