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第18章 掛け違わされるボタン
彼女の姿を見付けた時は、夢みたいなタイミングだと思った。
金曜の夕方、時刻は六時過ぎ。
別に計って来たわけでもないし、
彼女の仕事の定時からは、三十分以上過ぎている。
それだけに、まさか、ここで本当に彼女に会えるとは思わなかった。
だから、少し先に大きなビルのエントランスから出て来た
彼女の姿を見た途端、考える余裕もなく、僕は思わず駆け寄ろうとした。
「ナッちゃ……」
だが次の瞬間、僕の足が、急に何かに繋ぎとめられたようにピタリと止まる。
えっ……?
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