第18章  掛け違わされるボタン

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やっと呪縛が解けたように、僕の足が動いた。 なのに――。 走り出した車が、見る見る遠ざかる。 「ナッちゃん!」 そして、彼女たちを乗せた車の有った場所に駆け寄った時、 もう車の影は、僕の視界から消えていた。 すごい距離を走ったわけでも、すごく叫んだわけでもない。 なのに、ものすごい勢いで心臓が胸を叩き、 苦しくて激しい呼吸が止まらない。 頭は完全にパニックで、指先も、膝も小刻みに震えだす。 そんな時――。 「カンちゃん?」 不意に声が掛けられると同時に、僕の目の前に千奈美さんの顔が現れた。
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