第18章  掛け違わされるボタン

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「どうしたの? こんな所で」 しかし尋ねた後、彼女がサッと顔色を変えた。 「カンちゃん、気分悪い?」 僕は、小さくかぶりを振った。すると、 「じゃ、ちょっと来て」 いきなり僕の手を引き、目の前のビルの一階にあるカフェに連れて行かれる。 「座ってて」 そして、壁側の席に促されるままに座り、少し呆然としていると、 間もなく、目の前に湯気を上げる白いカップがそっと置かれた。 少し焦点のぼやけた目を落とした先からは、 チョコレートの甘い香りが漂ってきた。
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