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「とにかく、一口これ飲んで」
千奈美さんは、僕の正面に座り、口調はすごく優しいが
抗いがたい空気を放っていた。
そして、やっぱり僕には抗うなんて余裕すらなく、
素直にカップに手を伸ばす。
しかし持ち上げたカップは、自分でも驚くほどに小刻みに震えだした。
そんな僕の手に、そっと彼女が手を添えてくれた。
「大丈夫? ゆっくりでいいから、一口飲んでみて?」
普段ならすごく恥ずかしい光景だろうが、それも頭を掠める事すらなく
僕は、彼女の手に支えられてカップの中身を一口すすった。
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