第18章  掛け違わされるボタン

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温かくて優しい甘さが口に広がり、香ばしいチョコレートの香りが 鼻孔に流れた。 それと同時に、ようやく胸に詰まっていた何かがスッと取れる。 そして、 「はあ……」 思わず、吐息に声が乗った。 「良かった……」 そう呟きながら、僕の手の上にあった千奈美さんの手が離れていく。 「もう、蒼いどころか白い顔して震えてるから、本気で焦ったわよ」 そう言われ、上げた視線の先には、安堵した千奈美さんの苦笑があった。 「ごめんなさい……」 やっと言葉になった声と一緒に、僕は、再び視線を落とした。
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