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温かくて優しい甘さが口に広がり、香ばしいチョコレートの香りが
鼻孔に流れた。
それと同時に、ようやく胸に詰まっていた何かがスッと取れる。
そして、
「はあ……」
思わず、吐息に声が乗った。
「良かった……」
そう呟きながら、僕の手の上にあった千奈美さんの手が離れていく。
「もう、蒼いどころか白い顔して震えてるから、本気で焦ったわよ」
そう言われ、上げた視線の先には、安堵した千奈美さんの苦笑があった。
「ごめんなさい……」
やっと言葉になった声と一緒に、僕は、再び視線を落とした。
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