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その視界の先で、彼女の前に置かれたカップが細い指で持ち上げられる。
「夏海、待ってたの? にしては、ちょっと変だったよね?」
しかし僕は、何を、どう言っていいのか分からない。
そして押し黙る僕に、彼女は更に聞いてきた。
「ねぇ、カンちゃん。もしかして、夏海とケンカでもした?」
僕は、ゆっくりとかぶりを振った。
「分からないんです。
ケンカしてないし、僕が何かした訳じゃないって言われるんですけど。
でも、なんかナッちゃんが変で……」
「うん。それ、私も感じてた」
思わず、ハッと顔が上がった。
「ナッちゃん、何か言ってましたか?」
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