第18章  掛け違わされるボタン

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その視界の先で、彼女の前に置かれたカップが細い指で持ち上げられる。 「夏海、待ってたの? にしては、ちょっと変だったよね?」 しかし僕は、何を、どう言っていいのか分からない。 そして押し黙る僕に、彼女は更に聞いてきた。 「ねぇ、カンちゃん。もしかして、夏海とケンカでもした?」 僕は、ゆっくりとかぶりを振った。 「分からないんです。 ケンカしてないし、僕が何かした訳じゃないって言われるんですけど。 でも、なんかナッちゃんが変で……」 「うん。それ、私も感じてた」 思わず、ハッと顔が上がった。 「ナッちゃん、何か言ってましたか?」
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