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しかし、千奈美さんは少し難しい顔で首を振る。
「一応、聞いてはみたんだけどね。自分がおかしいだけ、って……」
自分が、おかしいだけ――。
僕は、彼女の言葉を小さく繰り返す。
だがその意味は、やっぱり分からない。
そして、もう躊躇う余裕もないまま、僕は聞いていた。
「あの、ナッちゃんの元の彼とは……、その……」
言葉にすると同時に、さっき目にした光景が浮かんでくる。
しかし、
「きっぱり、別れてるはずよ。ちゃんと彼に会って、そう伝えたはずだし」
「そう、ですか……」
少し、安堵に心が緩んだ。
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