第18章  掛け違わされるボタン

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しかも、新入社員の頃に世話になったからなのか、 まだ幼い娘たちの父だからなのか、未だに私は、こうして子ども扱いされる。 「なんか失敗やらかしました、って顔だな」 スマートに愛車にエスコートしてくれ、 運転席に乗り込んできた途端、ニヤッと笑われる。 「もう、あの頃とは違いますから。 ちょっとくらいの失敗は、自分で挽回できます」 「そうか? そりゃ、成長したもんだ」 ハハハ……。 爽やかに笑いながら、車を出す。 だが、そんな軽い感じの会話が、私の心も軽くしてくれた。 そして、 「何が食いたい?」 尋ねられて、「お任せします」と言って案内されたのは、 銀座にあるオイスターバー。
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