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「この前かみさんと来て、すごく美味かったんだ」
もちろん、おしどり夫婦の彼の言葉に嘘はないと思う。
だが、「元気がない」と言った彼の心遣いが
ここに隠れていることも分かっている。
だから、そんな私の心の機微も読み取ってくれる彼だけに、
私は、今度の事を艶っぽい話は抜いて相談していた。
そして、黙って聞いていた彼は、
私の話が終わると「ふぅ……」と太く息をついた。
「まぁ、男女の事に首を突っ込む野暮をする気はないが、
そんな風に、俺の可愛い後輩をいたぶったヤツは許せない。
それに、その女の目的もちょっと意味不明だな」
彼は、そっと私のグラスに白ワインを注ぎながら
優しい目を向けてきた。
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