第18章  掛け違わされるボタン

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「だけどな、橘。誰だって、過去の一つや二つは持ってるもんだろ?  それに、たまたま元カノっていう存在から変なカマ掛けられて、 お前のまだ癒えきってない傷に、重なるものが生じたのも無理はないと思う」 そして、「けどな」と言葉を短く切って続けた。 「あんまり神経質には、なり過ぎるなよ。 たぶん今のお前は、彼から過去の話を聞こうが、 その女から彼の過去を聞こうが、 どっちも本当に聞こえて、どっちも嘘に聞こえるだろう。 だったら、お前が選んで、お前が信じられる事を見付けるしかない。 冷たいようだが、答えは、お前の心しか見つけられないものだからな」
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