第17章  見えないカーテン(つづき)

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しかし、中学を卒業して以来、職場でも夜間の学校でも 比較的、年上の人ばかりに囲まれていて、 その上、この会社にもその年のたった一人の新入社員として入社した僕は、 こんな時に相談できる親しい友人がいない。 そして、結局――。 「どうした? お姉さまとケンカでもしたか?」 仕事でコンビを組むことも多い、この人が、僕の機微に目ざとくなる。 「いえ、別に……」 「その割にゃ、仕事に身が入ってないっつーか、 心ここに有らずっつーかだぞ、お前」 修理出張の帰り道。 昼間の空いた電車で小野寺さんにそう言われ、さすがに反論はできなかった。
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