第1章 忘却の戦士

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宇宙世紀0105…木星探査艦ジュピトリア第2ドッグ。かつて、シロッコが用いたジュピトリスの後継艦。全長はジュピトリスの5分の4ほどの長さだが、依然として、その巨大な艦の威厳は正に当時と変わらず、木星の軌道上に君臨していた。 第2ドッグの中では、2機のガンダムタイプのモビルスーツが、ロールアウト寸前の機体に火花を散らし佇んでいた…。 『Σガンダムの最終チェックはまだか!急ぎ仕上げよ!』 独りの中年の声がドッグ内に響き渡る。天然パーマの白髪頭にその面影は残る。 『アムロ、ガンダムの最終チェックはまだか?』 そこに、もう1人の中年男性が近づき言った。彼は綺麗なブロンドの髪で年はアムロと呼ばれた男とほぼ同じに見える。 そう…このブロンドの男性は天然パーマの男を『アムロ』と呼んだのだ。 『キャスバル総統、もうちょいだ』 アムロと呼ばれた男性は振り向き様に答えた。 『私のスプリームガンダムの出来も気にかかるが…』 キャスバル総統と言われた男は、2機あるガンダムのうちの1機、赤い色と金の装飾がされたガンダムを見上げて、ぼそりとつぶやいた。 『スプリームの方ももう少しだ。同期にロールアウト出来るはず』 『そうか…ありがとうアムロ。そう言えば地球圏でまた内乱がおこってるそうだ』 『また…戦争か…』 『たしかマフティーとか言う…』 『その為に長年研究して、この2機を作りあげたんじゃないか』 そう言うとアムロは向き直り、キャスバルと同じく、まだ建造中のガンダムを見上げた。
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